2013年 12月30日 14:07 (月)

2013年夏に公開された近未来京都を舞台に、最愛の人・ハルを失ったくるみと、ロボット・ハルが絆をつむぎ、くるみが生きる意思を取り戻していく中編アニメーション映画「ハル」。
「四畳半神話大系」を手がけた牧原亮太郎を監督、声優も「ちはやふる」綿谷新役の細谷佳正、「けいおん」秋山澪役の日笠陽子など豪華メンバーを迎え、制作会社はプロダクションIGより独立したWIT STUDIOが手がける作品となりました。
6月初回公開以降も順次全国に拡大公開され、英国でイベントが開催されるなどの人気を見せましたが、先日12月18日ついにBD、DVDが発売となりましたので、舞台探訪を実施しました。
【注意】記事にはネタバレとなる記載が多数あります。本作品をお楽しみいただくためにも、視聴の上記事をお読み頂くことを推奨いたします。
それでは、登場順に各シーンを写真とともに振り返ってみましょう。


鞍馬川(鞍馬寺付近)
物語冒頭で登場する藍染工房のモデルは、EDクレジットから栃木県の「日下田藍染工房」であることが明らかになっていますが、後にハルが叡電に乗るシーンから川のモデルは鞍馬川かと思われます。上記のとおり工房が別の場所にあるため、ピッタリ一致する場所はありませんが、川幅や山に囲まれている情景は似ています。

日下田藍染め工房
そしてこちらが日下田藍染工房がモデルになります。今回撮影が間に合いませんでしたが、ネット上に類似カットが掲載された記事・写真がありますので紹介させていただきます。
エヌ・クラフツアットメトロクス様より

日下田藍染工房
土祭2012様より


叡電・貴船口駅
駅の看板の位置などが変わっていますが、ホームの形式はおおむね一致。奥から入線してくるのは展望列車きらら号です。


展望列車きらら号内
他に乗客もいるので、ハルが座った位置から撮影できませんでしたが、おおむね車内も再現されているようです。


展望列車きらら号内


展望列車きらら号内
研究所(?)を出たハルと荒波先生は貴船口から一路出町柳へ。


鴨川デルタ
もう説明する必要のないくらい多くのアニメ作品でも登場しているデルタの飛び石ですね。


鴨川デルタ


鴨川デルタ
撮影したのは12月の寒空、しかも平日とあって流石に人はほとんどいませんでした。


鴨川デルタ


鴨川デルタ
本来であれば川中からのカットは撮影できないところですが、9月の豪雨の影響で土石が堆積しており、出町橋を見るカットも撮影可能な状況です。


京都市内および京都タワー
タイトルカットですが、空撮及びかなり魚眼レンズのように湾曲していますが、似たカットが京都駅屋上より撮影できます。


蜂蜜専門店ドラート付近
鴨川デルタからハルはつぐみの家へ向かいますが、つぐみのざっか屋「くも」のモデルとなったのは西陣の一角にある蜂蜜専門店ドラート。しかしながら、後ほど説明しますが「くも」の所在地は設定上、元田中〜出町柳付近となっています。


蜂蜜専門店ドラート


蜂蜜専門店ドラート
ドラートですが、取材した日は残念ながら休業日でした。


蜂蜜専門店ドラート
窓から中を覗いた感じや、実際ここを訪れた方の感想では、「くも」の店内はドラートをモデルにはしていないようです。


賀茂川・出町橋付近


錦市場
つぐみに手料理を作ることにしたハルは食材探しに錦市場へ。出町柳にしても西陣にしても、食材の買い物にしては遠出過ぎる気もしますが(笑)
本カットで登場する鶏卵店は三木鶏卵さんかと推測されます。

ちなみに三木鶏卵さんの店内では本カットのように、多数の料理人さんがだし巻きを調理しています。


大正製パン所
こちらの店はEDクレジットで協力店として紹介されている西陣のパン屋さんです。
作中では小路にある店として描かれていますが、大正製パン所さんは今出川通りに面しているため、前を車がひっきりなしに行き交います。


大正製パン所
協力店ということもあって、店内では「ハル」コラボ企画のパン「つぐみの涙」が販売されていました。
左隅にちょこっと広告が見えますね。


大正製パン所


下鴨神社・糺ノ森
遣り水があるすぐ近くです。


下鴨神社・糺ノ森
パン屋で知り合った子ども達にハルがつれていかれたのは…


鴨川デルタ
出町橋の東詰め。


鴨川デルタ


園芸店タネゲン
作中、作菓子屋となっている出町橋西詰めの店は園芸店です。建物の様子も色々改変されていますね。
さて、つぐみが欲しがっている「きりん」を見つけたハルですが…


葵橋西詰め京阪出町柳駅
デイケアで「つきこさん」の助けにより、「きりん」を引き取ることになったハルは再び作菓子屋へ。


葵橋


葵橋


出町橋
「きりん」を引き取り荒波先生と二人で搬送。


叡電元田中駅付近踏切
このシーンからざっか屋「くも」は、叡電出町柳駅〜元田中駅付近の住宅街にあるという設定だと思われます。
どうやら本作は地理上の設定と建物が必ずしも一致していないようですね。


叡電元田中駅付近踏切


叡電元田中駅付近踏切


叡電元田中駅付近踏切


叡電元田中駅付近踏切
まあ流石に線路に入り込んで撮影はできませんので線路より元田中駅方面を撮影。


蜂蜜専門店ドラート


蜂蜜専門店ドラート


蜂蜜専門店ドラート


蜂蜜専門店ドラート
この「きりん」の一件がつぐみの心を開くきっかけになり、物語が流れ出します。


賀茂川
出町橋より北側を撮影。川幅や段になっている部分から、この地点が類似していますね。


三条大橋


三条大橋西詰め
この辺りはかなり再現度が高いですね。


錦市場
錦市場の東口になります。


錦天満宮
新京極商店街の一角にある神社です。歓喜寺と呼ばれていましたが、菅原道真の霊を祭り鎮守社に。元は別の場所にありましたが、豊臣秀吉による都市計画で現在の位置に移動しました。明治の神仏分離令により寺が東山五条に移り、神社のみが残り現在の姿になったということです。余談ですが、「有頂天家族」にもちょこっと出てきますね(偽叡山電車のシーン)。


木屋町・車屋橋付近
周辺の雰囲気や右に映っている橋の形から、車屋橋付近と推察されますが建物や道路の形状が一致しません…。


木屋町・車屋橋付近


木屋町・車屋橋付近


木屋町・車屋橋付近


祇園祭り・菊水鉾
写真は菊水鉾の組み立て途中を撮影したものですが、カットの場所は全く別です。EDテロップに後ほど登場する長刀鉾と並んで綾傘鉾が協力と記載されていますが、現地でカットと同じ背景は確認できませんでした。綾傘鉾はどのような形で協力したのでしょうね?


四条境町通付近
いよいよ物語のクライマックス・祇園祭が始まります。作中、山鉾巡幸の「くじ改め」のシーンが登場するため、この辺りかと思われるのですが、ビルの形がほとんど一致していませんね…。


四条境町通
山鉾巡幸の見所の一つである「くじ改め」のシーンです。長刀鉾などの「くじ取らず」を除いて巡幸の順番はくじによって毎年決定され、「くじ改め処」にて鉾の先頭を行く町行司が奉行(京都市長)にくじを見せ、順番通りであるかを確認します。この際、勢いよく身体全体でお辞儀をするようにくじを差し出すものとされ、作中でこの様子がよく再現されています。


四条境町通
背後の野村證券のビルは再現されています。


新町通御池下る
デイケア「狐狸庵」の前を長刀鉾が通過します。山鉾巡幸は四条→河原町→御池→新町の順路となっており、作中のように狭い通路は新町しかありませんが、ピッタリくる場所がありませんでした。デイケア「狐狸庵」もこの辺という地理設定ではないかと思われますが・・・。

EDクレジットでも協力として名が記載されている、巡幸の先頭を行く長刀鉾。


八坂神社
浴衣姿のハルとくるみが訪れたのは八坂神社。そもそも祇園祭自体八坂神社のお祭りであるわけで。


八坂神社


八坂神社


鴨川デルタ
ハルとくるみはお京阪で祇園四条→出町柳へと戻ったようです。


鴨川デルタ


鴨川デルタ


鴨川デルタ
夕日に照らされるデルタを背景に二人の緩やかな時が流れますが…


鴨川デルタ
ハルの悪友(?)と一派が現れて逃げる身になるハルとつぐみ。


鴨川デルタ


鴨川デルタ
二人は鴨川沿いを南へと逃げていきます。


四条木屋町


四条木屋町
京都在住の方や京都をよく知っている方なら「ええ!」と言いたくなるところです。
実際出町柳〜四条は京阪で3駅、結構ハードなランニングなんですが、二人とも割と平気に走ってますね。


先斗町
先斗町の小路に逃げ込む二人。


先斗町
先斗町を逃げるシーン、追いかけるシーンが数カット登場しますが、類似の場所を発見できたのはここだけでした。
手前右の提灯が似ていますね。


関西電力夷川発電所
ここでまた「ええ!」。
先斗町から丸太町南の夷川発電所までまた自走ですか…ううむ。
さて夷川発電所ですが、このカットを見ても分かるとおり、所々改変されているようです。


関西電力夷川発電所
一応雰囲気、似ている部位を撮影。


関西電力夷川発電所


関西電力夷川発電所
本作の真相が暴かれるシーンです。

そしてハルの脳裏に甦ったつぐみと分かれたあの日。
この背景は関西国際空港第一ターミナルのようです。
また、ここで映っているつぐみが搭乗する「66番ゲート」は存在しないようですが、この点について舞台探訪関係で交流させていただいているkai881さんが非常に興味深い考察をされています。
ハル(HAL) 聖地巡礼 関空での搭乗ゲート特定について


全ての真相が明らかとなり、ハルの心がつぐみとの別れを受け入れて、一ヶ月程。
8月16日五山送り火の情景となります。
なお、最後に灯籠流しのようなシーンが登場しますが、このような催事はちょっと聞いたことがないですね。


ED:万博公園
つぐみが存命のころに二人が訪れていたであろう場所。残念ながら私が訪問した時は年末休業でしたが、柵越しの外からでも太陽の塔を撮影することができました。
長くなりましたが紹介カットは以上となります。
「近未来京都」を舞台にしていることで、当初は全カット撮影楽勝かと思いきや、結構手こずり挙げ句に特定に至らなかった重要な場所も多々あります。例えばハルとつぐみが訪れた喫茶店ですが、これも特定できず(私は木屋町・高瀬川沿いとの印象をもちましたので、形が近いと思われる場所が五条を少し上がったところの喫茶 KANOかと思います)、デイケア狐狸庵のモデルも特定できませんでした…。
こちらの案件についてはもはや京都市内にないのではないか?と思いますが継続調査ということで、発見次第報告したいと思います。
ともあれ、長文の記事、最後までお読みいただきありがとうございました!
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*引用画像は全て比較研究目的で掲載しており、著作権は全てWIT STUDIO様にあります、ので。
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