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島原紀行~民の声を聞け!!編~

2010年 09月28日 02:07 (火)

本日はコミック紹介を兼ねて先日の九州ツーリングの追加レポです。

麗島夢譚 (1) (リュウコミックス)
(2009/01/20)
安彦 良和

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最近第2巻も発売されましたが、安彦氏が描く歴史絵巻、島原の乱で戦死したはずの天草四郎時貞が落ち延び、西洋人の助力で、当時ゼーランディアと呼ばれた台湾に逃れていたら・・・というifものです。

安彦氏も取材に、乱最後の篭城の地、島原半島南部の原城跡を訪れていたそうで、第一巻あとがきにそのレポがのっているのを見て以来、一度訪れてみたいと思い、今回のツーリングで実現したわけで。

当日原城に到着したのは日が沈んだ後で、あまり写りは良くありませんが、観光客は誰一人おらず(そりゃそうだわな)、秋の虫の音が響きなんとも寂寞とした雰囲気でした。

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本丸跡。天草諸島を対岸に望み、見晴らしは最高。

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四郎が斬首された本丸は記念公園になっていますが、そのほかは完全に畑となっていますな。

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周辺民家から発見され、移築された四郎の墓。なんでも母が建てたといわれているとか。

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この地で反乱軍37000人が全滅したとはねぇ。
絶景の地に立つ四郎像と巨大十字架が印象的でした。


と、まあ湿っぽい内容でしたが、跡からの天草諸島の美しさとこの地で起きた悲劇があまりに対照的で、一度訪れると忘れられない場所です。



***

別件、本家HPに天野先輩を追加しましたのでこちらもよろしくお願いします。

(ちなみに今回、初めてfgに投稿してみました)

文学少女の世界(最終回)

2010年 09月24日 02:46 (金)

“文学少女”と神に臨む作家 上 (ファミ通文庫)
(2008/04/28)
野村 美月

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“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)
(2008/08/30)
野村 美月

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狭き門 (新潮文庫)
(1954/03)
ジッド

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さて、長きにわたったこのテーマも最終回。

自身の過去に一定のけりをつけた主人公心葉は、いよいよ遠子の秘められた過去とその心の闇、そして自身の作家としての未来に立ち向かうことになります。


今回の題材『狭き門』はフランス人作家、アンドレア・ジッドの自己と妻の履歴の告白とも言える問題作。

主人公ジェローム(ジッドがモデルといわれる)は従姉アリサ(妻である従姉がモデルといわれる)に想いを寄せ、アリサもまたジェロームを慕うも、アリサはジェロームの求めを拒絶しつつこの世を去る。
死後、彼女の日記を見つけたジェロームは、彼に対する此岸の愛と、神に通ずる彼岸の徳の間に葛藤するアリサの壮絶な記録にであう。そして彼女は、「神への門は二人で通るには狭すぎる」として、ジェロームが神への道を歩むことに希望を託し、自身の愛を否定した事実を知る。


本編は作家という職業を、表題のとおり「神に臨む業」として、遠子の両親とその友人である作家叶子と、主人公心葉の対照的な二人のありようを描きます。
遠子に秘められた心葉への思いはなんであったのか、心葉はそれを知り、どう応えようとするのか。
作家とは「神に臨む」孤高の存在たらねばならぬのか。

「神」とはある種の例えであり、此岸と彼岸、その間で揺れ動く人間の存在は、ある種人生の永遠のテーマであると思います。


さて、シリーズを通して、文学少女は起承転結、全7編にわたって構成がよく練られた作品でした。
「転」にあたる「慟哭の巡礼者」でボルテージが高まり、そして「結」にあたる「神に臨む作家」で高まりが静かに収まる、素晴らしい読後感でした。


文学少女シリーズの書評はこれにて終了しますが、続編も読みます。
また、通常の書評の中で紹介していければと思っています。


では、長らくありがとうございました。


☆5.0

九州旅行です

2010年 09月23日 01:53 (木)


名称未設定 1のコピー

三連休に盆出勤の代休繋げて五連休、九州ツーリング行ってました。

フェリーが大阪南港発だったので、途中日本橋で猫鯖さんのとこにコンペ作品おいてきましたが・・・


さて、今回の目的は

・本州最南端制覇
・鹿屋、知覧の特攻関係史跡めぐり
・教会建築の見学

そして

・鹿児島で焼酎バー

でした。

まあ盛り沢山でしたが、まずは鹿屋で見かけた貴重な大戦機・退役機から。

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P-3Cの前代機、P-2Jです。

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新明和のUS-1Aです。

そしてこのご先祖様、世界で唯一現存する

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二式大艇!
米軍が調査目的で本国に持ち帰り、その後日本の要請で里帰りが実現した機体ということで、
大戦機とは思えぬほど状態がいいです。

そのほか、知覧特攻平和記念館でも三式戦、四式戦と貴重な機体が保存されていましたが、館内は残念ながら撮影禁止。

特攻隊員の記録抜きで二つの基地は語れませんが、展示航空機は超一流ですね。

教会建築は最初の写真のとおり。

長崎市街地にある浦上、大浦天主堂のほかは、僻地(失礼)の農村・漁村に忽然と現れる欧風建築が意外感があって面白いです。

ちなみに一番左が黒崎教会。

『sola』に登場する教会の内部デザインの元になっています。

二年前、長崎巡礼の際、回収漏れも今回でフルコンプしましたわい。

文学少女の世界(第6回)

2010年 09月14日 01:57 (火)

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)
(2007/12/25)
野村 美月

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夜叉ヶ池・天守物語 (岩波文庫)夜叉ヶ池・天守物語 (岩波文庫)
(1984/01)
泉 鏡花

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さて、今回は文学少女最終章へ向かう前、息抜きを兼ねながらしかし随所に伏線が張られた番外編。

お題は泉鏡花『夜叉ヶ池』。

さて、このたび文学少女シリーズを読むに当たり、題材文学作品のリストの中で、まず目に留まったのが泉鏡花の名である。

泉鏡花の名を始めて意識したのはある女学生の存在がある。
なにも古い学生時分の話ではない。ましてその女学生がどうのということでは全くない。
2年ほど前、社の採用活動で面談をした大学の後輩が泉鏡花を専攻しているというので、その予習にて泉の作品と人となりをざっと詰め込んだのがきっかけ。
「幽玄」と称される氏の作品は勿論のこと、尾崎紅葉に師事するエピソード、極度の潔癖症など、人物に妙にひかれるところがあった。
当時興味を持っていた国文学者・折口信夫とどこか重なるところがあったからかもしれない。

さて、今回の『夜叉ヶ池』、遠子嬢のいうとおり、音読推奨の作品である。
粗筋を頭に入れるだけではあまりにもったいない。
耳で聞き、(心の)目で見てこその戯曲。
白雪姫の尊大ながらも畏怖すべき存在感、彼女を取り巻く百鬼夜行の姿態、そして全てが洪水に飲み込まれる中で見つめあう主人公夫婦、わずか70頁ほどの書に凝縮された世界には圧倒されるはずである。


と、まあなんかいつもと口調まで違ってきちゃいましたが。
泉鏡花はですます調で語るには失礼に当たるような、そんな作品です。

肝心の本編、物語を盛り上げる為とはいえ、少々現実離れした展開かなというところでしたが。

しかしながら、最後、エピローグ部分の麻貴先輩と流人の「虫刺され」の描写、非常に間接的ながらもエロティックで乙でした。


☆4.0


さて、まるで中高生の夏の宿題でもこなしているような文学少女書評シリーズでしたが、次回で完結。
ここまで読んだ文庫本、文学少女、題材作品含めて13冊、長い夏がようやく終わりに差し掛かった気がいたします。

文学少女の世界(第5回)

2010年 09月11日 03:43 (土)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)
(2007/08/30)
野村 美月

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新編銀河鉄道の夜 (新潮文庫)新編銀河鉄道の夜 (新潮文庫)
(1989/06)
宮沢 賢治

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さて、第5回、今回はいよいよ主人公・心葉とトラウマ・美羽の過去の全容が明らかになります。

今回のお題は宮澤賢治『銀河鉄道の夜』。

まず『銀河鉄道』から。

本作は宮澤賢治の作品の中でも、その表現性、思想性、賢治の世界観が凝縮された内容となっており、学問的にも最も注目を集める代表作となっています。
自分も子供のころ読んだかな?と記憶は曖昧ですが、だれしもその名は聞いたことがあるはず。

『銀河鉄道』は主人公ジョバンニと友人カムパネルラの関係性、物語りの背景に流れる世界と、まあ着目点は多様ですが、今回の文学少女では前者に焦点をあてています。

平凡で埋没した日々を送るジョバンニと、頭脳明晰で人気者のカムパネルラ、一見非対称的である二人ですが、ジョバンニはカムパネルラを慕い、カムパネルラもジョバンニを無二の親友として気にかける。
読者はだれしもジョバンニに自身を重ね、カムパネルラに誰かを重ねる。
そうして宮澤賢治にとってのカムパネルラは誰であったのか、学会では二説あるそうですが、これまた永遠のなぞであります。

『文学少女』ではそんな『銀河鉄道』の関係性解釈にもう一歩踏み込んだ内容となっていると思います。

すなわち、誰しもがジョバンニであると同時に、誰かのカムパネルラであると。

この地平に立ったとき、他者性の壁を超えることができるのではあるまいかな、とそう気づかさせてくれる結末でした。


『文学少女』も今回で登場人物のプロフィールは全て片付いたといったところ。

次回は番外編を一本はさんでいよいよ物語りは終結へと向かいます。

☆5.0

「もう一度人生やりなおしません?」

2010年 09月06日 03:12 (月)

最近仕事で土日出勤ありーので更新サボっていましたが、どーにか先週末で一区切り。

てなわけで気になっていた映画『カラフル』見てきました。


生前罪を犯し、輪廻の輪から放逐されそうになった「ぼく」の魂が、突如現れた天使?「プラプラ」
によって現世に戻され、忘却された生前の罪を思い出し、更生する使命を言い渡される。

目を開けると、自分は自殺未遂を起こして昏睡状態にあった中学生「小林真」として生まれ変わっていた。

一見恵まれた家庭に見えた小林家は、実は家庭崩壊寸前。
肝心の小林真自身も、学校ではどうにもならない落ちこぼれであったが、小林真が「ぼく」として振舞うことで周囲の驚きを買い、人間関係にも少しずつ変化が生まれていく、

といった展開。

プロモーションなどにもあるとおり、「中学生」としての主人公の心情と感情に焦点を当てた作品ですが、
そこから受け取るメッセージは広く共感を得るものだと思えました。

まずは、人は誰でも間違いを犯す。しかしそれを否定することなく許すということ。
そして、人間はそういった相互の認識と肯定の中で、関係性を構築し、つらい現実を放棄することなく生きねばならないということ。

また、タイトルの意味でもありますが、一個人であってもその存在は多面性をもち、多色性こそが人であるということ。


見ていて同じ年代・家族構成だった『lain』(古っ!!)を思い出しましたが、小林家の結末には救いがあってまあ良かったなと。

ジャンル的にも非常に新鮮でかなりの良作であったと思います。

☆5.0