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有頂天家族2舞台探訪記⑤

2017年 05月10日 06:44 (水)

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有頂天家族舞台探訪記(第一期)
有頂天家族2舞台探訪記①
有頂天家族2舞台探訪記②
有頂天家族2舞台探訪記③
有頂天家族2舞台探訪記④


下鴨神社で数年ぶりの将棋対局を果たした矢一郎と玉瀾でしたが、矢一郎が投了した途端に玉瀾が将棋盤に吸い込まれてどこかへ。続いて矢一郎、矢三郎も飛び込んだところ、そこは見覚えのある父の「将棋部屋」でした。なんと将棋部屋は赤玉先生のアパートの一室につながっており、そこで「茶釜エンジン」を発見しますが…
季節は8月も半ば過ぎ、五山送り火を迎えた京都。今年、今宵も下鴨家と夷川家による納涼船合戦が送り火の空で繰り広げられる第五話「続・大文字納涼船合戦」です。

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第五話:出町橋西詰
コーポ枡形を出た矢一郎・矢三郎は、玉瀾を見送るために出町橋の西詰へ。

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第五話:出町橋西詰
「じゃあ、わたしはここで。ありがとう、矢三郎ちゃん。」
「なんのなんの。」

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第五話:出町橋西詰
「そうだ、もうすぐ五山の送り火だ。玉瀾もうちの納涼船においでよ。」
「是非お伺いいたします!」

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第五話:出町橋西詰
「それじゃ、また。」

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第五話:出町橋西詰
「お前また、余計なことを!」
「なんだよ、せっかく気を利かせてやったのにその言い草は。」

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第五話:出町橋西詰
「五山の送り火に浮かべる船がないのだ…。」

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第五話:出町橋西詰
「え!奈良の狸から遣唐使船借りるはずだったろ。」
「あの話はだめになった。」


どうやら夷川が金にものを言わせて奈良の狸を買収した様子で、矢二郎の「偽叡山電車」に茶釜エンジンを搭載して浮かべることに。矢一郎と玉瀾の告白も行われ、和やかな雰囲気になったタイミングで宿敵・夷川家の遣唐使船が接近して結局戦闘状態に突入。そこへ弁天が拝借してきた洋椅子を取り返しに来た二代目が登場して、狸の喧嘩は天狗の喧嘩に発展しますが…

白い浴衣姿の弁天と、黒ずくめの二代目は、狸たちが固唾をのんで見守る中、傾いた帆柱の真下で向かい合った。転落して船板にめりこんだ電光掲示板がばちばちと青白い火花を散らしている。弁天は怒りを腹に秘め、二代目は軽蔑を腹に秘め、たがいに睨み合っている。弁天は冷たい微笑を頬に浮かべた。
「倫敦でお会いしたときには、ひどく空が荒れていましたわね」と彼女は謎めいたことを言った。「虫が好かなかったのですよ、あの日からずっと」



「弁天がどこへ堕ちたか分かるな、矢三郎]
「はい。見ておりました」
「迎えに行ってやらねばなるまい。ついてこい」
「承知しました」

(『有頂天家族 二代目の帰朝』P251及びP254より)

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第五話:西賀茂橋東詰
我々は西賀茂橋のたもとでタクシーを降り、川の左岸を歩いていった。

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第五話:西賀茂橋東詰
賀茂川はひっそりとした住宅や畑の広がる町を抜けて、巨大な獣のようにうずくまる北の山に向かっている。

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第五話:MKボウル上賀茂前
弁天は夏草の生い茂った賀茂川の中州にひとり座っていた。撃墜されたときに川に落ちたらしく、長い黒髪は乱れているし、浴衣も濡れて泥だらけである。青ざめた頬にも、生々しい泥の跡が一筋こびりついていた。

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第五話:MKボウル上賀茂前
私と赤玉先生が川べりに下りていっても、彼女はこちらを見ようとしなかった。

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第五話:MKボウル上賀茂前
赤玉先生は川を渡っていき、彼女のかたわらに立った。

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第五話:MKボウル上賀茂前
「悔しいかね」と問いかけるのが聞こえた。
弁天は小さく笑ったようである。
「…悔しいですわ」
「そうか。そうであろうな」と先生は優しい声で言った。

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第五話:MKボウル上賀茂前
「しかし天狗も時には堕ちるものだ」
弁天とならんで川面を眺めながら、先生は静かに言い聞かせるようにした。
「悔しかったら、強うなれ」

(『有頂天家族 二代目の帰朝』P255-P257より)


彼女の横顔には二代目への青白い怒りが燃えていた。
しかしその顔を見た瞬間、言いしれぬ哀しみが私の胸をいっぱいにした。そのとき船上にいた狸たちの一匹として私の気持ちが分かったとは思えない。
ひとり私だけが確信していたのである。
弁天は二代目に負けるだろうと。

(『有頂天家族 二代目の帰朝』P251-P252より)





*引用画像は全て比較研究目的で掲載しており、著作権は全て「有頂天家族2」製作委員会にあります、ので。