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文学少女の世界(第5回)

2010年 09月11日 03:43 (土)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)
(2007/08/30)
野村 美月

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新編銀河鉄道の夜 (新潮文庫)新編銀河鉄道の夜 (新潮文庫)
(1989/06)
宮沢 賢治

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さて、第5回、今回はいよいよ主人公・心葉とトラウマ・美羽の過去の全容が明らかになります。

今回のお題は宮澤賢治『銀河鉄道の夜』。

まず『銀河鉄道』から。

本作は宮澤賢治の作品の中でも、その表現性、思想性、賢治の世界観が凝縮された内容となっており、学問的にも最も注目を集める代表作となっています。
自分も子供のころ読んだかな?と記憶は曖昧ですが、だれしもその名は聞いたことがあるはず。

『銀河鉄道』は主人公ジョバンニと友人カムパネルラの関係性、物語りの背景に流れる世界と、まあ着目点は多様ですが、今回の文学少女では前者に焦点をあてています。

平凡で埋没した日々を送るジョバンニと、頭脳明晰で人気者のカムパネルラ、一見非対称的である二人ですが、ジョバンニはカムパネルラを慕い、カムパネルラもジョバンニを無二の親友として気にかける。
読者はだれしもジョバンニに自身を重ね、カムパネルラに誰かを重ねる。
そうして宮澤賢治にとってのカムパネルラは誰であったのか、学会では二説あるそうですが、これまた永遠のなぞであります。

『文学少女』ではそんな『銀河鉄道』の関係性解釈にもう一歩踏み込んだ内容となっていると思います。

すなわち、誰しもがジョバンニであると同時に、誰かのカムパネルラであると。

この地平に立ったとき、他者性の壁を超えることができるのではあるまいかな、とそう気づかさせてくれる結末でした。


『文学少女』も今回で登場人物のプロフィールは全て片付いたといったところ。

次回は番外編を一本はさんでいよいよ物語りは終結へと向かいます。

☆5.0

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