08月 « 2017年09月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  » 10月

文学少女の世界(最終回)

2010年 09月24日 02:46 (金)

“文学少女”と神に臨む作家 上 (ファミ通文庫)
(2008/04/28)
野村 美月

商品詳細を見る


“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)
(2008/08/30)
野村 美月

商品詳細を見る


狭き門 (新潮文庫)
(1954/03)
ジッド

商品詳細を見る


さて、長きにわたったこのテーマも最終回。

自身の過去に一定のけりをつけた主人公心葉は、いよいよ遠子の秘められた過去とその心の闇、そして自身の作家としての未来に立ち向かうことになります。


今回の題材『狭き門』はフランス人作家、アンドレア・ジッドの自己と妻の履歴の告白とも言える問題作。

主人公ジェローム(ジッドがモデルといわれる)は従姉アリサ(妻である従姉がモデルといわれる)に想いを寄せ、アリサもまたジェロームを慕うも、アリサはジェロームの求めを拒絶しつつこの世を去る。
死後、彼女の日記を見つけたジェロームは、彼に対する此岸の愛と、神に通ずる彼岸の徳の間に葛藤するアリサの壮絶な記録にであう。そして彼女は、「神への門は二人で通るには狭すぎる」として、ジェロームが神への道を歩むことに希望を託し、自身の愛を否定した事実を知る。


本編は作家という職業を、表題のとおり「神に臨む業」として、遠子の両親とその友人である作家叶子と、主人公心葉の対照的な二人のありようを描きます。
遠子に秘められた心葉への思いはなんであったのか、心葉はそれを知り、どう応えようとするのか。
作家とは「神に臨む」孤高の存在たらねばならぬのか。

「神」とはある種の例えであり、此岸と彼岸、その間で揺れ動く人間の存在は、ある種人生の永遠のテーマであると思います。


さて、シリーズを通して、文学少女は起承転結、全7編にわたって構成がよく練られた作品でした。
「転」にあたる「慟哭の巡礼者」でボルテージが高まり、そして「結」にあたる「神に臨む作家」で高まりが静かに収まる、素晴らしい読後感でした。


文学少女シリーズの書評はこれにて終了しますが、続編も読みます。
また、通常の書評の中で紹介していければと思っています。


では、長らくありがとうございました。


☆5.0

コメントの投稿

非公開コメント