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戦死者に思う

2011年 01月17日 01:51 (月)

仕事が修羅場と化しつつありますが今週も名古屋で同人漁り・・・


さて今週の書評は、第一巻発売以来、続巻がなく打ち切りかと思っていた佐藤秀峰氏の『特攻の島』第二巻。

特攻の島 2 (芳文社コミックス)
(2011/01/14)
佐藤 秀峰

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人間魚雷「回天」訓練場であった周南市大津島を舞台とする壮絶極まる特攻秘話。

昨年は鹿児島の知覧特攻記念館に行きましたが、大津島もいつか訪れたい戦跡です。

これまでも多くの戦跡を訪問しましたが、特攻という歴史的事件は、単なる戦禍の悲惨さだけでなく多くのことを考えさせられます。(見る人によりそれは違うでしょうが)

記念館での特攻隊員の手記、遺書が語りかけるもの、それは自分の死後残される日本人に対するメッセージ。

それが大日本帝国の勝利を祈念するものであれ、そのメッセージは敗戦という事実をもって無意味に帰することはできないでしょう。

私は学生時代読んだ吉田満『戦艦大和ノ最期』に出てくる少佐(だったかな?)の「我々が死んで、死ぬことによって日本人はこの無謀な戦争から醒める。そのための礎たらん」という言葉を思い出します。

敗戦と米軍による占領、米国の軍事的保護の下での平和主義と経済成長。
まがりなりにも経済大国・平和国家として復活を遂げた日本と日本人ですが、それは300万の同胞の死を過ちの結果と切捨ててきた結果ではなかったのか?
一体、戦後日本人は戦死者とどう向き合ってきたのか?

そんな悶々とした中答えを探して読んだのがこの一冊

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性
(2002/11)
小熊 英二

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丸山真男から三島由紀夫、吉本隆明に至るまで戦後政治思想の形成を彼等の戦争体験という切り口から迫った大作ですが、そこであぶりだされるのは、生き残ったインテリゲンチャ達の戦死者に対する恐れにも似た悔恨の情です。

戦死者を踏み台に生き残ったこと、そして積極的にせよ消極的にせよ戦争に加担していた事実に対する葛藤の中から、初期戦後民主主義思想が生み出されていった過程は、現在政治の論壇でひとくくりにされている「戦後民主主義」が、実に多様であり、そこには「戦前の超国家主義からの転向」とは断ずることの出来ないものがあることが解ります。

特攻記念館は日本人にとって、「戦前の日本」だけではなく「戦後の日本」を自省する場として、戦死者を記憶する場として、今後も残り続けることを願って止みません。

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