03月 « 2017年04月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  » 05月

有頂天家族探訪記③

2013年 07月24日 01:57 (水)

b_uchoten_title.jpg


「弁天は身体をしなやかに反らせて、衣服を脱いだ。そうして一糸纏わぬ姿となり、彼方の波間に見え隠れする大鯨へ向かって、美しく天狗らしい弧を描いて跳躍した。」


(幻冬舎文庫 森見登美彦『有頂天家族』P127より)

有頂天家族探訪記①
有頂天家族探訪記②

なんでもこのシーンは森見先生も最も楽しみにしていたシーンだったとか。(『有頂天日記 7月21日』

さて、第三話登場のカットは新規カットに限れば大分少なくなりましたが、その分非常に興味深いものが多かったというのが感想です。
第一にこれまで明確に描かれることの無かった「コーポ桝形」の位置がおおよそ明らかになったこと、そしてPV公表時より謎だったレンガ作りの建築物(時計台)の全容が明らかになったりと、考証するには非常に楽しみな回でした。

今回はいつもどおり本編登場順にカットを紹介していき、最後に「謎の時計台」の正体に迫りたいと思います。

b_uchoten_c_0301.png b_uchoten_p_0301.jpeg
第三話:BONBON CAFE
第二話でも登場しましたが、今出川通りからのカット。
こちらがカフェの正面入り口になります。

b_uchoten_c_0302.png b_uchoten_p_0302.jpeg
第三話:出町橋
写真を見ておわかりのとおり、出町橋からでは送り火はここまで大きくは見えませんが…

b_uchoten_c_0303.png b_uchoten_p_0303.jpeg
第三話:出町橋付近
実際、8月16日の五山送り火の日は絶景スポットのため、この辺りはごった返しています。

b_uchoten_c_0304.png b_uchoten_p_0304kai.jpeg
第三話:下鴨神社御手洗池

b_uchoten_c_0305.png b_uchoten_p_0305kai.jpeg
第三話:下鴨神社御手洗池

b_uchoten_c_0306.png b_uchoten_p_0306kai.jpeg
第三話:下鴨神社御手洗池

b_uchoten_c_0307.png b_uchoten_p_0307kai.jpeg
第三話:下鴨神社御手洗池

b_uchoten_c_0308.png b_uchoten_p_0308.jpeg
第三話:下鴨神社御手洗池
上記写真は今年のみたらし祭りの様子。下鴨神社では土用の丑の日(前後四日間)にみたらし祭り「足つけ神事」が催されており、境内にわき出すみたらし川に足をつけ、無病息災を願います。実際足をつけてみると真夏というのに飛び上がる程の冷たさ。矢三郎が足をつけているこのシーンはこの神事を再現したものかもしれませんね。

b_uchoten_c_0309.png b_uchoten_p_0309.jpeg
第三話:下鴨神社細殿

b_uchoten_c_0310.png b_uchoten_p_0310.jpeg
第三話:下鴨神社

b_uchoten_c_0311.png b_uchoten_p_0311.jpeg
第三話:下鴨神社

b_uchoten_c_0312.png b_uchoten_p_0312.jpeg
第三話:下鴨神社細殿

b_uchoten_c_0313.png b_uchoten_p_0313.jpeg
第三話:桝形商店街マツヤ前
またまた「たまこまーけっと」でおなじみのカットですね。

b_uchoten_c_0314.png b_uchoten_p_0314.jpeg
第三話:桝形商店街付近
ここからのシーンが、矢三郎・矢四郎兄弟が桝形商店街からコーポ桝形へと向かうシーンになります。
上記カットは鯖のオブジェがある商店街の交差点を北へ、酒屋八百屋をさらに北へ行ったところ。

b_uchoten_c_0315.png b_uchoten_p_0315.jpeg
第三話:桝形商店街付近

b_uchoten_c_0316.png b_uchoten_p_0316.jpeg
第三話:桝形商店街付近
そんなわけで兄弟は北へと進み…

b_uchoten_c_0317.png b_uchoten_p_0317.jpeg
第三話:桝形商店街付近
突き当たりのT字路を西へ折れます。

b_uchoten_c_0318.png b_uchoten_p_0318.jpeg
第三話:桝形商店街付近

b_uchoten_c_0319.png b_uchoten_p_0319.jpeg
第三話:桝形商店街付近

b_uchoten_c_0320.png b_uchoten_p_0320.jpeg
第三話:桝形商店街付近
そしてこのカットの右側がコーポ桝形が「ある」と思われる場所です。
これまでの経路と周辺環境を比較する限りこの場所でほぼ確定かと思われますが、劇中登場するコーポ桝形と同じ外観の建物は実在しません。また、個人宅でもあるため写真の掲載はせず、map上でもピンうちはしていません。巡礼される方は住宅街・個人住宅であることを十分にご理解の上、配慮ある行動を心がけるようお願い致します。

b_uchoten_c_0321.png b_uchoten_p_0321.jpeg
第三話:出町橋

b_uchoten_c_0322.png b_uchoten_p_0322.jpeg
第三話:出町橋

b_uchoten_c_0323.png b_uchoten_p_0323.jpeg
第三話:出町橋

b_uchoten_c_0323a.png b_uchoten_p_0323a.jpg
第三話:鴨川デルタ付近

b_uchoten_c_0324.png b_uchoten_p_0324.jpeg
第三話:叡山電鉄出町柳駅前

b_uchoten_c_0325.png b_uchoten_p_0325.jpeg
第三話:叡山電鉄出町柳駅前

b_uchoten_c_0326.png b_uchoten_p_0326.jpeg
第三話:叡山電鉄出町柳駅前

b_uchoten_c_0327.png b_uchoten_p_0327.jpeg
第三話:叡山電鉄出町柳駅前

b_uchoten_c_0328.png b_uchoten_p_0328.jpeg
第三話:三条高倉交差点

b_uchoten_c_0329.png b_uchoten_p_0329.jpeg
第三話:白竹堂本店
創業が享保三年(1718年)という扇子の老舗。今回のアニメに関しては協力店ではないようですし、扇子を買う…用事がある訳でもないので、店内の取材は流石に遠慮しましたが、京都にお越しの際は弁天気分で訪れるのも宜しいのではないでしょうか。
白竹堂公式ホームページ

b_uchoten_c_0330.png b_uchoten_p_0330.jpeg
第三話:白竹堂本店


さて、この後「謎の時計台」が登場し、弁天が鯨と戯れるシーンが登場するのですが、少し記述が長くなりそうなので最後にまわします。


b_uchoten_c_0331.jpg
IMG_1725.jpg
第三話:烏丸四条交差点

b_uchoten_c_0332.png b_uchoten_p_0332.jpeg
第三話:大垣書店四条店
アニメカットではカフェのように見えますが、こちらの書店では窓際に椅子が設置してあり、販売書籍をじっくり「座り読み」できるよう配慮がされています。

b_uchoten_c_0333.png b_uchoten_p_0333.jpeg
第三話:四条烏丸付近

b_uchoten_c_0334.png b_uchoten_p_0334.jpeg
第三話:四条烏丸交差点付近
流石に烏丸通りのど真ん中からの撮影は危険ですのでw


そしていよいよ物語後半の見せ場となる弁天と鯨のシーン。登場する謎の時計台です。

b_uchoten_c_0335.png

放映翌日よりTwitter上で京都の地理に詳しい探訪者の方、近現代建築に詳しい方を交えてやりとりが交わされたのですが、どうやらこの建物がモデルに限りなく近いということになりました。

b_uchoten_p_03tokeidai1.jpeg b_uchoten_c_tokeidai3.png
登録有形文化財:家邊徳時計店ビル三条本店
なお、本ビルは写真撮影等に家主様のご許可が必要とのことで、今回掲載の写真は信頼のおけるベースとして文化遺産オンライン様より転載させていただいております。
本ビルの来歴は下記の通り(ビル一階の紹介版を参考)。
明治4年(1871年)創業の家邊徳時計店。本ビルは初代家邊徳之助が明治23年(1890年)に建造した、日本で最古の煉瓦石造洋風商店建築物であるとか。三階と四階の時計台は昭和30年に撤去され、現存するのは1階2階部分のみ。

なお、最近まで一階部分には洋品店が入っていましたが、私が現場に訪れた2013年7月下旬現在では内装が完全に撤去されております。建屋は残っていますので外からの見学は可能です。

モノクロの写真とカットを比較するところでは、時計台部分が酷似していますが、三階部分の窓がアニメではアーチ型であるのに対し四角、さらには一階二階部分の構造もかなり違っています。しかし時計台部分の他に類似点も。

b_uchoten_c_0336.png
上記写真と比較していただきたいのですが、隅飾りはほぼ一致。

b_uchoten_c_0337.png
そして角の煉瓦の組み合わせも一致。おそらく三階部分も同様であったと推察されます。

b_uchoten_c_0338.png
ただ、二階一階がほとんど別物なのが悩みどころ。

と、いうわけで「確定」とまではいえませんが、暫定的に本建築物をモデルとして劇中では改変されたもの、ということで一応の結論としたいと思います。最後に森見先生の「有頂天家族」より本建築物に関する記述を転載して結びとします。

「長年風雨にさらされて荒れ果てたそれは、大正時代に成功した貿易商が建てた堂々たる洋館であるが、今は八割がた海中に没している。海上に高く聳えている時計台は、かつてその洋館がホテルとして盛名を誇った当時、格好の宣伝塔の役目を果たしたという。その名高い時計台も、絶え間なく吹き付ける潮風に今は錆びついて、二度と動くことは無い。」

(幻冬舎文庫 森見登美彦『有頂天家族』P121より)


より大きな地図で 有頂天家族 舞台探訪/聖地巡礼マップ を表示

*引用画像は全て比較研究目的で掲載しており、著作権は全て「有頂天家族」製作委員会にあります、ので。

コメントの投稿

非公開コメント

No title

2013年07月27日 11:46

夷さん、こんにちは!
「有頂天家族探訪記」を拝見させていただいて、ほんとに感心致しました。Google Mapの上で自分もこのブログに頼って「偽·聖地巡礼」をしています。私は日本人ではありませんが、最近森見登美彦先生の小説にハマって、従って京都という古都に魅了されました。
そして、もっと多くの人に京都の美しさを知るためにというか、なんというか、アニメ有頂天家族のオンラインアルバムを作ろうと思っています。ですけど、私の知っている京都はほんの少しで、夷さんとは比べ物になりません。ですから、大変失礼ですが、「有頂天家族探訪記」を転載させていただけませんか。夷さんの撮った写真は一切使いません。アニメの中のシーンも全部自分で改めてカットします。もちろん、夷さんの名前とブログサイトはアルバムの中で書きます。

「アニメの中のシーン」
地名

以上のような形になります。
私は夷さんの返事を待ってます。(もし転載するのがダメな場合、「ノー」とはっきり言っても構いませんので。)

PS:こんな暑い中、聖地巡礼ほんとにお疲れ様でした。ちなみに、私が読んでいた森見先生の作品の中、「宵山万華镜」が一番美しいと思っています。

No title

2013年07月28日 08:30

お読みいただき、どうもありがとうございます。聖地巡礼のご参考にしていただければという思いで作成したので、筆者冥利に尽きます。

さて転載の件ですが、書き込みを拝見したところでは記事部分の転載ということで理解して宜しいでしょうか?
当ブログでは事前にご連絡いただければアニメキャプ画等著作権が私に属さないもの以外は、引用ベースを明示していただければ、写真・文章等の転載はOKとしています。

何かお役に立てるものがあればお使いください。

>PS
お恥ずかしい話、森見先生の作品で原作を読んだのは「夜は短し歩けよ乙女」と「有頂天家族」だけだったり(汗
しかしながら森見先生が院生だった頃、私も学生生活を京都・左京区でおくったので、なんというか森見先生の描く京都の視点がたまに重なり懐かしさを覚えます。

No title

2013年07月28日 10:03

夷さん、こんにちは!
転載を同意してくださってありがどうございます。それでは、転載させていただきます。

「しかしながら森見先生が院生だった頃、私も学生生活を京都・左京区でおくったので、なんというか森見先生の描く京都の視点がたまに重なり懐かしさを覚えます。」というのが素敵ですね。作者と同じ目で同じ光景(もしかしたら同じ時点で)をみることができるなんて。

『宵山万華鏡』おススメです。(笑

PS 聖地巡礼の時に夏バテにならないように体に気をつけてください。次回をお楽しみにしています!

No title

2016年11月19日 16:14

Σ(゚Д゚)スゲェ!!  時計店本物まで探したんですね  さすが= =